代表理事挨拶

<社会を豊かにする人間関係の重要性について>

私は20代の何年間かをアフリカの中等教育の現場や、アフリカの小規模農家へ技術支援を行う組織で過ごしてきました。モノがない、サービスがない、カネがない、日本から見ればアフリカはないないだらけかもしれません。いわゆる「貧しい」とされる状態でありながらも、アフリカの人々は日々笑顔で精神的に豊かな生活を送っているように見えました。その豊かさの秘密は「人との繋がり方(ソーシャルキャピタル)にある」というのが私の持論です。

 

日本においても、福祉の現場で「支えられる側」と考えられている、高齢者や障害者、または小さな子どもたちが、それぞれ互いに「支え合う」場を見てきました。例えば、子どもが好きな高齢者が、子どもに絵本を読んであげるという場面があります。その時、高齢者は愛情とともに絵本を読む楽しさを子どもに教えてくれ、子どもは逆に高齢者にエネルギーや生きがいを与えてくれるのです。

 

 

<少子高齢化、人口減少社会での「生きづらさ」について>

少子高齢化、人口減少社会が叫ばれて久しいですが、これからの日本は世界に先駆けてヒトが少なくなります。ヒトが少なくなればカネも少なくなっていくでしょう。そうなると、今ある様々なモノやサービスも利用できなくなるかもしれません。それは例えば、日頃使っていたスーパーの閉店や、財源不足による行政サービスの縮小といった形で、私たちの生活に直接影響を及ぼすことになります。過疎化が進み、子どもが少ない地域では、一緒に子育ての悩みを共有できる仲間も見つけにくいかもしれません。まちは高齢化し、単独世帯は増え、介護や孤立化等の課題も大きくなっていきます。ヒトやカネが少なくなることで生じる「生きづらさ」を私たちはどのように抱えて生きていけば良いのでしょうか?

私たちは、「人と人の豊かな人間関係をつくること」で日本の人々が抱えていく「生きづらさ」を軽減したり、場合によっては解消することができるのではないかと考えています。そして福祉の現場には、地域において「豊かな人間関係をつくり、これからのまちづくり、地域づくりに貢献する」力があると確信しています。

  

NPO法人えんは、介護・保育・障害福祉事業を通じて、地域に豊かな人間関係を醸成し、懐の深い、多様性に溢れるコミュニティを創造することで、豊かなまちづくりに貢献したいと考えています。

 

代表理事

 

髙田仁里